APIを接続するだけでこの過程が完成しない理由は、
OCR API適用前に確認すべき項目でより詳しく扱いました。
韓国ディープラーニングの2026年上半期の事業のうち、約94%が金融と公共から生まれました。
2026年7月に集計して発表したKDLの上半期データでは、
文書AI事業の売上は前年同期比3.4倍、
技術導入の問い合わせは5.3倍以上の数値を記録しました。
この数値は国内市場の統計ではなく、KDLの事業構成です。
ただ、同じ時期に国内外で出た調査や研究、規制文書を並べて置くと、
この構成がなぜつくられたのかが比較的鮮明に浮かび上がります。
結論から言えば、
AIエージェントを導入した組織が増えるにつれ、文書AIの需要も伴って増えています。
エージェントが働くには、前段で文書を読み取って構造化された入力を受け取り、後段でその結果を検証して既存システムに入れなければならないからです。
金融と公共でこの需要が先に現れる理由は、その二つの段階が規制によって強制されるからです。以下で、外部の調査と政策資料を順に確認していきます。
ひと目で見る
エージェントの普及はまだ初期段階です。 拡散段階まで進めた組織は23%、実験段階は39%です
妨げているのはモデルではなくデータです。 72%が、統合されアクセス可能なデータがないと答えました
文字を読めても、答えが合うとは限りません。 82.9%読み取れた条件で、後続の質疑応答の精度は52.8%でした
人による確認は依然として残ります。 英国の金融会社の75%がAIを使っていますが、完全自律は2%です
政府の最初の課題も文書です。 公共AI転換の先導課題三つは、福祉・雇用、納税、新薬審査で、すべて文書を読んで判定する業務です
1. エージェントは増えたのに、業務には結びつきません
2025年下半期から2026年上半期の間に出た三つの調査が、同じ方向を指しています。
調査 | 標本 | 主な結果 |
|---|---|---|
McKinsey (2025年11月) | 105か国 1,993人 | 全社での拡散23%、実験39%。個別業務に絞ると拡散は10%未満 |
Deloitte (2026年8月) | 米国企業の役員 501人 | 42%がテストまたは配備。業務プロセスが整ったという回答は5% |
BARC (2026年6月) | 約220社 | AIに使える非定型データが半分未満だという回答が70% |
要約すると、
会社全体では23%が拡散していますが、特定部署の業務まで下りると10%を超えません。 パイロットは回っているのに、実際の業務には結びついていないという意味です。
Deloitte調査で組織が準備できていると答えた割合が5%にとどまったのも、同じ話です。
では、何が妨げているのでしょうか。Deloitte調査が挙げた第一の阻害要因はモデルの性能ではなくデータでした。統合されアクセス可能なデータがないという回答が72%でした。
そのデータがどのような形なのかは、BARC調査で確認できました。
自組織のAI関連の非定型データがどこにあるのかを完全に把握していると答えたのは29%にとどまりました。これについて、リサーチ部門責任者のKevin Petrie氏は状況をこう要約しました。
Unstructured data carries the context AI agents need to act reliably, yet most organizations cannot say where it sits or how it is used.
エージェントが信頼に足る形で行動するには文脈が必要であり、その文脈は非定型データに含まれているのに、大半の組織はそれがどこにあり、どう使われているのかを言えないのです。
企業において、非定型データの大半は文書です。
契約書、請求書、申請書、報告書、図面、議事録、そしてそれらのスキャン版です。
*原資料はこちら
💡 用語整理:エージェントの前段と後段
段階 | 行うこと | 含まれる作業 |
|---|---|---|
前段 | 人が読んでいた文書を、機械が使える構造へ変えます | 文字認識、レイアウト解析、表と項目の抽出、形式の正規化 |
後段 | エージェントが作った結果を確認し、後続システムへ反映します | ルール照合、例外分類、人による検収、システムへの受け渡し |
2. 前段:82.9%を読み取ったのに、答えは52.8%しか合いませんでした
文字認識のスコアが高くても、業務成果は伴いません。
2026年7月、ACL 2026 Industry Trackで発表された「When Good OCR Is Not Enough」では、産業文書570件・3,402ページを11の難易度カテゴリに分け、OCRモデル10種を評価した研究が、文字認識の精度と、その結果をそのまま検索拡張生成に入れたときの応答精度をあわせて測定しました。
視覚的要素が複雑な文書カテゴリで、このような結果が出ました。
82.9% OCR accuracy yet only 52.8% RAG accuracy (30.1% discrepancy)
文字は82.9%読み取ったのに、その結果で答えた精度は52.8%でした。30.1ポイントの差です。
モデル別にも、同じ低下が確認されます。あるオープンソースのパイプラインは86.7%から60.3%へと26.4ポイント下がり、汎用のマルチモーダルモデルの一つは75%から52%へ下がりました。
これは最近生じた問題でもありません。ICCV 2025に掲載された「OCR Hinders RAG」は、文書画像8,561枚と質疑応答8,498組で実験した結果、最も性能のよいソリューションでさえ、全体評価でF1スコアが14%下がったと明らかにしました。2年の間隔を置いた二つの研究が同じ方向を指しているなら、特定時点の問題ではなく構造的な問題と見るのが妥当です。
引用の範囲:いずれの研究も特定製品の性能を検証する資料ではありません。文字認識のスコアと実際の業務成果が互いに異なる指標であるという一般的な根拠としてのみ引用しました。
格差はどの地点で生じるのか
文書処理は、実際の導入ではおおむね次の順序で設計されます。
文書を入力し、種類を分類します
タイトル、表、本文、チェック項目など、構造を把握します
必要な値を抽出し、形式を正規化します
業務ルールや基準データと比較します
例外や低信頼の結果を人が検収します
確定した結果を後続システムへ受け渡します
文字認識は、第1段階と第2段階の間にあります。
ここで表の結合セルが誤って解かれたり、複数段に分かれた項目が混ざったりすると、文字は正確に読み取れていても第3段階以降がすべて狂います。後段に行くほど誤差が大きくなる理由です。
💡
*原資料はこちら
3. 後段:前段を解いても、人による確認が残ります
文書を正確に読み取ったからといって、その結果をそのままシステムに入れられるわけではありません。
英国の二つの金融当局であるイングランド銀行と金融行為監督機構(FCA)が、118の金融会社を調査して2024年11月に出した共同報告書を見てみます。75%がすでにAIを使っており、10%が3年以内に導入する計画だと答えました。全活用事例の55%は、何らかの形で自動意思決定を含んでいました。
ところが、完全自律方式は2%でした。
24%は、自らさまざまな判断を下しつつも、人の監督を含むように設計されていました。
半数以上がAIに判断を委ねますが、そのうち大半は人が最後を見ます。
その最後をどこに置くのかが、設計の核心です。
検収地点を定める際に確認すべき問い
誤ると費用や規制リスクが大きいフィールドは何か
信頼度の基準を下回る結果だけを検収するのか、特定の項目はすべて検収するのか
文書種類ごとの例外を誰が定義し、更新するのか
検収者が原本と抽出結果を一つの画面で照合できるか
修正履歴と最終承認者を残すべきか
💡
エージェントに実行権限を与えつつ、承認とログをあわせて設計する方法は、
AIエージェント構築、誤った実行を防ぐ権限・承認・ログ設計で扱いました。
4. 金融と公共では、二つの段階が規制によって強制されます
前段と後段はすべての産業に必要ですが、金融と公共では選択ではなく要件です。
金融委員会が2025年12月に公開した金融分野AIガイドラインの改定方向は、補助手段性の原則をこう整理しています。
最終的な意思決定とそれに伴う責任は、役職員が負えるよう内部管理体系を構築しなければなりません
同じ文書の信頼性の原則には、 "体系的な検証および誤り対応の手順"が明示されています。後段の検収と監査証跡が、勧告ではなく管理体系の構成要素として入っているという意味です。
手続きもすでに動いています。金融保安院は2025年2月から金融業界のAIサービスの保安性評価を本格的に実施し、発表時点で32の金融会社の49サービスが受け付けられました。導入そのものが別途の検証を経るという意味です。
海外も方向は同じです。EU AI Act 第14条は、高リスクのAIシステムに人による監督を求めます。監督者が状況に応じてシステムを使わないと判断したり、出力を無視して元に戻したり、停止手順で介入できなければならない、という内容です。高リスクシステムに対する義務は2026年8月2日から適用され、金融の信用評価は高リスク分類に含まれます。
💡
文書を組織の外へ出しにくい環境で、この検証をどう設計するのかは、金融業界の文書AI構築時に確認すべき条件で扱いました。
政府が選んだ公共AIの最初の課題も文書審査です
公共では政策資料がより直接的です。政府はAI大転換15大先導プロジェクトを、企業7大・公共3大・基盤3大の課題で構成しました。公共3大は福祉・雇用、納税、新薬審査です。 三つとも書類を受け取って読み、判定する業務です。
各課題は2026年に実際に着手しました。
課題 | 担当 | 予算 | 状況 |
|---|---|---|---|
新薬審査 | 食品医薬品安全処 | 3か年で総額223億ウォン | 2026年2月に専担組織が発足。2026年に原料医薬品の規格と生物学的同等性の評価、2027年に改良新薬、2028年に新薬の順で拡大 |
福祉 | 保健福祉部、韓国社会保障情報院 | 2年間で118億7,500万ウォン | 2026年6月に遂行機関7か所を選定 |
雇用 | 雇用労働部 | 非公開 | 雇用24 AIサービスを2026年6月に試験運用、8月に正式運用 |
納税 | 国税庁 | 非公開 | 2026年に試験、2027年に本事業 |
2026年の政府AI予算は総額9.9兆ウォンで、41の省庁の741事業に配分されました。
新薬審査のロードマップが特に示唆的です。初年度の対象が原料医薬品の規格と生物学的同等性の評価審査であり、いずれも提出書類を読んで基準と照合する作業が核心です。政府が公共AI転換の出発点として文書審査業務を選んだことになります。
原資料はこちら
5. 私たちの上半期データは、この流れの観測値です
ここまでが外部資料です。では、最初に置いた数値へ戻ります。
韓国ディープラーニングが2026年7月に集計して発表した上半期の事業データは、次のとおりです。
項目 | 数値 | 性格 |
|---|---|---|
文書AI事業の売上 | 前年同期比3.4倍 | 前年比の変化 |
技術導入の問い合わせ | 前年同期比5.3倍以上 | 前年比の変化 |
金融・公共の比率 | 上半期事業の約94% | 2026年上半期の構成比 |
顧客企業への内部設置の比率 | 全事業の約90% | 2026年上半期の構成比 |
この構成は、先に整理した流れと同じ方向を指しています。規制によって検証が強制される産業で文書処理の需要が先に現れ、文書を組織の外へ出しにくい条件で内部設置が選ばれます。
特に問い合わせが5.3倍に増えた点が示唆的です。 売上よりも問い合わせのほうが大きく増えたということは、いままさに検討を始めた組織がそれだけ多いという意味です。前段をどこまで自動化するか、後段の検収をどの地点に置くかを問う段階にある組織が増えています。
韓国ディープラーニングが独自に集計した事業データです。
6. 導入前に確認すべき五つ
前段と後段という枠で見ると、導入検討で確認すべき項目が整理されます。
代表的な文書 形式が整った見本ではなく、実際の変形や例外を含んでいるか
セキュリティと網環境 原本と抽出データが移動・保存されうる範囲はどこまでか
検収範囲 人が必ず確認すべき文書とフィールドは何か
連携対象 抽出結果が渡されるERP、CRM、グループウェアまたは内部システムは何か
運用責任 モデルとルールの変更、障害対応、品質モニタリングを誰が担うのか
この五つをまず定めておけば、デモで認識率だけを比較する段階から抜け出して、実際の運用可能性を検討できます。自動化範囲と検収地点を段階として設計する方法は、
金融・公共AI自動化設計ガイドで続けてご確認いただけます。
よくある質問
Q. AIエージェントの前段と後段は何を意味しますか
前段は、人が読んでいた文書を機械が使える構造へ変える段階です。文字認識、レイアウト解析、表と項目の抽出、形式の正規化がここに含まれます。後段は、エージェントが作った結果を確認して後続システムへ反映する段階で、ルール照合と例外分類、人による検収、システムへの受け渡しがここに含まれます。
Q. OCRの精度が高ければ、エージェントの性能も伴って上がりますか
いつもそうとは限りません。ACL 2026 Industry Trackの研究では、文字認識の精度が82.9%の文書カテゴリで、後続の質疑応答の精度が52.8%と現れました。文字を読むことと、文書の構造を保つことが、別の課題だからです。
Q. 金融と公共で文書AIの需要が先に現れる理由は何ですか
文書処理の結果が審査、精算、民願、規制対応と直接つながり、その過程で人による検証が規制として求められるからです。金融委員会のAIガイドラインは、最終的な意思決定と責任を役職員が負うよう、内部管理体系を整えることと定めています。
Q. 完全自動化を目標に掲げてもよいですか
業務によって異なります。イングランド銀行と金融行為監督機構の2024年の調査では、118の金融会社のAI活用事例のうち、自動意思決定を含む割合は55%でしたが、完全自律方式は2%でした。規定上、人による確認が求められる業務では、自動化の割合そのものが目標指標になりにくいのです。
参考資料
エージェント導入の現況
McKinsey (2025-11) · Deloitte (2026-08) · BARC (2026-06)文書処理の精度に関する研究
ACL 2026, When Good OCR Is Not Enough · ICCV 2025, OCR Hinders RAG金融規制と監督
イングランド銀行・FCA (2024-11) · 金融委員会 AIガイドライン (2025-12) · 金融保安院 (2025-02) · EU AI Act 第14条公共AI転換政策
国家人工知能戦略委員会 予算資料 (2026-03) · 15大先導プロジェクト (2025-08) · 食薬処 AI審査 (2026-02) · 国税庁 ロードマップ (2026-01)韓国ディープラーニング 上半期発表
ベンチャースクエア (2026-07-16)